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はじめに

洋上風力プロジェクトの採算性を評価するうえで、CAPEX・OPEX・LCOE・IRR といったコスト関連指標は極めて重要です。
しかし、日本の促進区域における具体的なコスト情報は、公開資料が限られており、投資家や事業者にとって判断材料が不足しているのが現状です。

本記事では、長崎県五島市沖浮体式洋上風力を対象に、代表地点の立地条件（離岸距離・水深・港湾距離）を基に、NEDOのコストモデルを用いてCAPEX・OPEX・LCOE・IRRを推定しました。

あくまで独自推定値ではありますが、区域ごとの特徴や相対的な比較を行う上での参考となる情報を提供します。

本稿では、事業進捗や制度的な背景ではなく、コスト構造の観点から整理します。長崎県五島市沖浮体式洋上風力の概要を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
👉 長崎県五島市沖浮体式洋上風力発電プロジェクト

1. 区域概要

本稿では促進区域のポリゴン座標に基づき、区域中央を代表点に設定しました。水深・距離条件はNeoWinsのデータを基に推定しています。

CAPEX/OPEXはNEDO洋上風力発電コストモデルを参照にDeepWind 独自に算定しました。

浮体タイプ	推定CAPEX	推定OPEX
スパー型	約109 億円	約2 億円/年

LCOEはNEDO洋上風力発電コストモデルおよびNeoWinsデータを参照にDeepWind 独自に算定しました。

浮体タイプ	推定LCOE
スパー型	29.7 円/kWh

価格条件	推定IRR	売電価格	運転期間（想定）
落札価格	9.3 %	36 円/kWh	25年

評価軸	スコア（★1–5）	評価結果
収益性（落札価格）	★★★★	有望
総合評価	Aランク	浮体式のためLCOEが高いが入札価格も36円/kWhと高いため、十分採算可能

本稿では、長崎県五島市沖浮体式洋上風力のコスト構造を整理し、CAPEX・OPEX・LCOE・IRRの観点から収益性を評価しました。結果として、浮体式ゆえにLCOEは高めながらも、落札価格が36円/kWhと高水準であることから十分に採算性が見込めることが示されました。

ただし、区域ごとに立地条件やコスト構造は大きく異なるため、本稿の評価はあくまで一例に過ぎません。その他の促進区域との相対比較を行うことで、日本の洋上風力市場全体の収益性の位置づけがより明確になります。

その他促進区域のCAPEX・OPEX・LCOE・IRRと比較したい場合は、こちらのまとめ記事もぜひご覧ください。
🌊 日本の洋上風力「促進区域」12エリア徹底コスト分析

DeepWindでは、こうしたコスト構造や収益性の分析を通じて、投資家・事業者の意思決定に資する実践的な情報を今後も提供していきます。

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