無料レポート · 17ページ · 英語 · 2026年9月
FY2026 First Half in Review
4月に立てた計画の前提は、どこで古くなったか
2026年4月から9月まで、日本の洋上風力市場にはニュースと呼べる出来事がほとんどありませんでした。入札の結果は出ず、資金調達を終えた案件もなく、公募も始まっていません。それでも3つの数字が動き、どれも4月時点の計画の計算を変えています。
- 400 km曳航の半径浮体式の基地港湾(風車を組み立てて海へ送り出す拠点港)は、2年で整備し、半径400kmまで曳航して届ける前提で考えられるようになりました。4月時点の想定は3年・20kmでした。自分の区域を支える港が、すぐ隣の港とは限りません。
- 約11万円/kW/年発電量ではなく設備容量に応じて払われる収入(容量収入)で、DeepWindが推計する日本の洋上風力案件の必要水準に入る額が出てきました。ただし対象はすでに選ばれた6案件だけで、募集の上限は対象の規模を下回ります。国の資料は、次の公募以降には適用しないと明記しています。
- 21本年産能力 約50本日本でつくられたモノパイル(着床式風車の基礎に使う大口径の鋼管)は21本です。つくった笠岡の工場は年に約50本をつくれます。受注は2027年3月で終わり、その後の発注は発表されていません。
この3つが、2028年・2029年の工程表の前提をどう変えるかを17ページで整理しました。
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レポートの内容
| 章 | 出発点になる数字のぶつかり合い |
|---|---|
| 1. 港湾 | 基地港湾は2年で整備する目標。完成した浮体を設置まで置いておく場所は、使えるまで5〜7年かかる |
| 2. 入札と収入 | 収入の下支えがようやく案件の必要水準に届いた。使えるのは6案件だけ |
| 3. 撤退 | bpは遊佐から撤退すると報じられている。公表資料ではまだ5社の出資者の1社 |
| 4. サプライチェーン | 笠岡は年50本つくれる。受注は21本で、2027年3月に尽きる |
| 5. コストと事業性 | DeepWindの試算で最も安い区域は、収入の下支えがないラウンドにある |
付録では、上半期にWeeklyで示した19の判断を、公表されている事実と照らして採点しています。外れた判断も、その理由とともに載せています。
レポートに出てくる4つの用語と、見ておく理由
ゼロプレミアム
入札の下限価格で落札し、補助の上乗せがほとんどない状態のことです。市場価格に近い収入しか得られないため、事業者は約30年にわたって価格の変動をほぼすべて負います。bpの撤退が報じられている遊佐も、入札した7社すべてが下限価格で並んだラウンドで選ばれた案件です。
容量収入(LTDA)
発電量1kWhごとではなく、設備容量1kWあたり年いくらで払われる収入です。日本で、風の強さに左右されない収入を案件にもたらす制度はこれだけです。融資する銀行が返済の見通しを立てるうえで、この安定した収入が重く見られます。
調整係数
風力の設備容量のうち、オークションが安定して供給できる分として数える割合で、第4回では地域により15.7〜31.9%です。公表される上限価格はこの係数で割ったあとの値なので、見出しの数字をそのまま読むと、案件が受け取る額を数倍に見誤ります。
LCOE(均等化発電原価)
発電設備が生涯に生む電力1kWhあたりの平均コストです。このレポートでは物価変動を除いた2026年の円で示しています。水深・離岸距離・風況の違う区域を1つの数字で比べられるため使います。区域ごとの数字はすべて同じ前提で出したDeepWindの推計で、公式の値ではありません。
区域ごとの数字は、自分で計算し直せます
レポートの推計は DeepWind Viability Simulator で出しています。日本の洋上風力の区域ごとに、LCOE・プロジェクトIRR(借入の効果を除いた事業そのものの収益率)・最低DSCR(返済の原資が返済額の何倍あるかを示す、融資判断の指標)を計算するツールです。Free Explorer は誰でも使えます。Professional では第2〜4ラウンドの区域と浮体式の海域が加わり、収入の仕組みをFIPと容量収入で切り替えられます。Weekly の購読者は2026年12月31日まで無料で使え、利用方法は登録後のウェルカムメールでお知らせします。
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The DeepWind Lens
日本の洋上風力市場を読み解くためのDeepWindの枠組みをまとめたレポートです。市場は、制度を整える段階から、案件が融資を受けられるかを試される段階に移りつつあります。上半期レビューはこの枠組みを使って書いています。
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