494MW 秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖洋上風力発電プロジェクト

秋田県能代市・三種町・男鹿市沖洋上風力

秋田県能代・三種・男鹿洋上風力発電プロジェクトは、日本政府が進める第1回洋上風力発電入札(通称:ラウンド1)の一環として実施されましたが、2025年8月に事業者が撤退を決めたことでプロジェクトは一時中止なりました。本海域については2026年以降の再公募が予定されています。

本記事では、プロジェクトの概要、設置場所やサイト条件、スケジュールなどについて詳しく解説します。

他の促進区域の動向もあわせて把握したい方は、全国の洋上風力プロジェクトまとめをご覧ください。

1. プロジェクト概要

2025年に事業者が事業撤退を決定。2026年以降に再公募予定。

プロジェクト名秋田能代・三種・男鹿オフショアウィンドファーム
開発事業者秋田能代・三種・男鹿オフショアウィンド合同会社
コンソーシアム三菱商事洋上⾵⼒株式会社、株式会社シーテック、三菱商事株式会社
設置場所秋田県能代市、三種町、男鹿市沖
発電方式着床式洋上風力発電
風車機種GE
供給価格13.26円/kWh
発電容量494MW(13MW×38基)
建設開始2026年
運転期間2028年12月~2052年4月

2. 設置場所とサイト条件

Akita Noshiro Mitane Oga Offshore Wind location
出典:秋田能代・三種・男鹿オフショアウィンドファーム

2-1. 風況条件

Noshiro Mitane Oga wind conditions
出典:秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖区域の概要図

区域内の風速は約7.0~8.0m (高度100m)

2-2. 水深条件

Noshiro Mitane Oga water depth
出典:秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖区域の概要図

区域内の水深は30m未満

2-3. 港湾インフラ

Noshiro Mitane Oga port area
出典:秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖区域の概要図

建設・O&M:能代港を利用予定

3. 発電設備概要

Akita Noshiro Mitane Oga Offshore Wind WTG overview
出典:METI公開資料(秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖公募占用計画の概要)

4. プロジェクトスケジュール

4-1. 全体スケジュール

  • 令和元年10月8日:第1回法定協議会
  • 令和元年12月26日:第2回法定協議会
  • 令和2年3月30日:第3回法定協議会
  • 令和4年9月27日:第4回法定協議会
  • 令和6年3月18日:第5回法定協議会
  • 令和7年9月4日:第6回法定協議会
  • 令和7年 11 月 27 日:第7回法定協議会
  1. 開発・設計フェーズ(2021年~2026年)
    • 2021年12月:公共入札の受注
    • 環境影響評価、風況、波浪、海底地質調査
    • FIT 申請および許可
    • 地元関係者説明・同意
    • ウィンドファーム認証、工事計画届
  2. 建設フェーズ(2026年~2028年)
    • 2026年3月:陸上変電所と送電インフラの建設
    • 2027年6月:洋上基礎とケーブルの設置
    • 2028年:風力タービンの組立と設置
  3. 運用・保守フェーズ(2028年~2052年)
    • 風車の維持管理:GE
    • 操業・保守(洋上):北拓
    • 操業・保守(船舶保有・管理):日本郵船
    • 操業・保守(陸上系統):シーテック
  4. 撤去・再発電フェーズ(2052年以降)
    • 風力発電設備の寿命終了時の計画
    • 将来のエネルギー政策に基づく再稼働の可能性
Akita Noshiro Mitane Oga Offshore Wind schedule
出典:METI公開資料(秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖公募占用計画の概要)

4-2. EIA(環境影響評価)の進捗状況

事業名称
Project name
事業者名
Developer
手続段階
EIA Stage
容量
Capacity
基数
Turbines
出力
Rating
更新日
Last Updated
(仮称)秋田県能代市・三種町・男鹿市沖における洋上風力発電事業
Akita Noshiro Mitane Oga Offshore Wind
秋田能代・三種・男鹿オフショアウィンド合同会社
Akita Noshiro Mitane Oga Offshore Wind LLC
方法書
Method Statement
Up to 532MWUp to 3812.6 – 14MW2025/06/10
出典:環境アセスメント事例情報(環境省)
Source: Environmental Impact Assessment Case Information (Ministry of the Environment, Japan)

5. 事業計画をゼロベースで見直し?

三菱商事は、国内3カ所の洋上風力発電プロジェクトの見直しに伴い、2024年4〜12月期に522億円の減損損失を計上したと発表しました。中西勝也社長は記者会見で「減損は重く受け止めている」とし、今後の事業方針をゼロベースで検討する意向を示しました。

5-1. 減損の原因と今後の方針

三菱商事は2021年の入札で3案件を受注し、約3年間開発を進めてきたものの、世界的なインフレ、円安、金利上昇などの影響でコストが想定を大きく上回りました。そのため、採算性を再評価しており、最終的な事業継続の判断は今後決定するとしています。

また、計上した資産のほぼ全額を損失処理しており、今後追加の減損が発生する可能性はあるものの、影響は限定的と説明しました。

5-2. 減損損失の内訳

  • 調査・設計・許認可取得の費用を資産として計上していたが、今回すべて損失処理。
  • 既に支払った費用に加え、今後発生予定のコストも含めた総額が522億円。

5-3. 入札時の価格設定について

2021年の入札では、三菱商事は競合他社を大幅に下回る低価格で落札しましたが、同社は「エネコの知見を活用し、リスク分析を行った上での判断だった」と説明。結果として、想定以上のインフレやコスト上昇が事業の採算性に大きく影響したとしています。

5-4. 洋上風力事業の今後

三菱商事は、洋上風力が脱炭素社会の重要な電源であることを認識しており、今後の事業方針については、インフレや金利、為替動向などを踏まえて慎重に判断する方針です。

6. 三菱商事連合、国内3海域の洋上風力から撤退(8月26日)

三菱商事とパートナー企業は、千葉県および秋田県沖で進めていた3件の洋上風力発電プロジェクトから撤退する方向で調整を進めています。

6-1. 撤退の背景

今回の判断にはいくつかの要因が重なっています。

  • 入札での極端に低い落札価格
  • 資材価格や建設コストの上昇
  • 経済的な成立性が見込めない状況

結果として、これらのプロジェクトは当初の採算性を維持できないと判断されました。これは、日本政府が推進してきた大規模再エネ事業にとって、象徴的な挫折といえます。今後は再公募が行われる見通しですが、コスト競争とサプライチェーンの現実、そして資金調達環境との折り合いの難しさが改めて浮き彫りになりました。

6-2. 今後への含意

この撤退が意味するものは少なくありません。

  • 日本の洋上風力戦略そのものが再検討を迫られる可能性
  • 2030年(10GW)、2040年(30〜45GW)の国家目標に向け、時間的な余裕が一段と縮小
  • 政府が再エネ政策をどのようにリセットし、投資環境を整えるかが投資家の信頼回復に直結

特に、入札制度とプロジェクト実現性のバランスをいかに取るかが、今後の市場成長の鍵となるでしょう。

7. LCOE・IRR推定

洋上風力プロジェクトの事業性を評価するうえで、LCOE(均等化発電原価)やIRR(内部収益率)といったコスト関連指標は極めて重要です。しかし、日本の促進区域における具体的なコスト情報は公開資料が限られており、投資家や事業者にとって十分な判断材料が整っているとは言えないのが現状です。

そこでDeepWindでは、各案件の代表地点における風況・水深・港湾距離・系統連系点までの距離を入力パラメータとし、独自のコストモデルを用いてCAPEX・OPEX・LCOE・IRRを推定しています。これにより、促進区域プロジェクトの相対的な事業性ポジションを横断的に整理しています。

最新の前提条件および相対評価については、以下のコスト分析Pillar記事をご参照ください。
👉 日本の洋上風力 促進区域プロジェクト コスト分析(最新版)

まとめ

本プロジェクトは事業者の撤退によりプロジェクトが一時中止となりましたが、2026年以降の再公募が予定されており、今後の展開が期待されます。

再エネ海域利用法における「促進区域」の一覧は、洋上風力促進区域12プロジェクト一覧 ― 再エネ海域利用法の最前線でご確認いただけます。

もっと深く知りたい方へ:DeepWindの注目カテゴリーをチェック!

  • 🔍市場動向・分析 – 日本の洋上風力市場の最新動向と注目トピックをわかりやすく解説
  • 🏛️政策・規制 – 法制度、促進区域、入札制度など、日本の政策枠組みを詳しく解説
  • 🌊プロジェクト – 日本国内の洋上風力プロジェクト事例をエリア別に紹介
  • 🛠️テクノロジー&イノベーション – 日本で導入が進む最新の洋上風力技術とその開発動向を紹介
  • 💡コスト分析 – 洋上風力のLCOEやコスト構造を日本の実情に基づいて詳しく解説
上部へスクロール